世界の地政学的リスクの高まりや中央銀行によるドルの代替資産としての購入拡大、インフレ防衛需要を背景に、金(ゴールド)をはじめとする貴金属(プレシャスメタル)市場は歴史的な活況を見せています。
株式市場における貴金属関連銘柄は、自社で鉱山を持つ企業、廃棄基板等から金を回収するリサイクル(都市鉱山)企業、地金販売・買取店、そして価格に連動するETFまで多岐にわたります。
1. 貴金属ビジネスの主要セクター
- 鉱山開発・直接製錬(川上):天然鉱石から金を採掘・製錬。金価格の上昇がダイレクトに利益を押し上げる。
- 都市鉱山・リサイクル(川中):廃基板や触媒等から金・銀・プラチナ・パラジウムを回収。サーキュラーエコノミー・資源安保の観点でも需要増。
- 地金商社・買取・ジュエリー(川下):地金販売の手数料、個人からの貴金属買取・換金ビジネス。
- 東証上場ETF(純粋連動):個別株の企業リスクを避け、純粋に金・プラチナ・銀の価格推移に投資。
2. 代表的な関連銘柄(日本株)
① 鉱山開発・非鉄製錬大手(金価格への感応度が最大)
金価格の上昇がそのまま大幅な業績上方修正や在庫評価益に直結する本命エリアです。
| コード | 銘柄名 | 主な展開・注目理由 |
| 5713 | 住友金属鉱山 | 日本で唯一の商業金鉱山「菱刈鉱山」を保有。カナダのコテ金鉱山の寄与もあり、金価格の上昇が直接利益を跳ね上げる日本の金鉱株の本命。 |
| 5711 | 三菱マテリアル | 銅・金製錬大手。「マイ・ゴールドパートナー」など地金・純金積立の窓口ビジネスも展開し、金投資ブームの恩恵を受ける。 |
| 5714 | DOWAホールディングス | 製錬および貴金属リサイクル(都市鉱山)の雄。特に銀の回収で世界トップクラスのシェアを持つ。 |
② 都市鉱山・貴金属リサイクル(資源循環・安定高成長)
使用済みの電子機器や産業廃棄物から高純度の貴金属(金・銀・プラチナ・パラジウム)を回収・再資源化する企業群です。
| コード | 銘柄名 | 主な展開・注目理由 |
| 5724 | アサカ理研 | 廃基板や貴金属めっき液からの貴金属回収に強み。排ガス触媒からのプラチナ回収等も手掛ける。 |
| 5726 | 大阪チタニウムテクノロジーズ | (参考)スポンジチタニウム大手。貴金属ではないがレアメタル・航空機・防衛需要として同セクターで物色されやすい。 |
| 7456 | 松田産業 | エレクトロニクス業界からの貴金属回収・リサイクル大手。半導体・電子部品の生産増も追い風。 |
| 5857 | AREホールディングス | 貴金属リサイクルの大手。歯科貴金属や電子業界からの回収に強みがあり、金高に伴う仕入・加工粗利が拡大。 |
③ コメ兵・ジュエリー・流動化サービス(買取・流通)
金価格の高騰により、個人が保有する宝飾品や金製品の買取・査定依頼が急増し、取扱高が膨らんでいるエリアです。
- コメ兵ホールディングス(2780):リユース最大手。金価格高騰による個人からの貴金属買い取り拡大が業績を強力に支援。
- アガタ(フェスタリアHDなど宝飾各社):保有資産の評価益や、金インゴット取り扱い店舗の集客効果。
④ 東証上場貴金属ETF(株式口座で投資可能)
個別銘柄の業績リスクを回避し、商品価格そのものの値動きを取りたい場合の選択肢です。
- 1328(NOMURA原油等に並ぶ)/ 1540(純金上場信託:金の果実):国内で最も流動性が高い現物裏付け型の金ETF。
- 1541(純プラチナ上場信託) / 1542(純銀上場信託):金以外の貴金属(プラチナ・銀)のボラティリティを狙うETF。
3. 今後の注目ポイント
- 中央銀行の金購入とドル離れ:新興国を中心に、ドル依存度の引き下げや外貨準備の分散目的で中央銀行による金の爆買い(年1,000トン超規模)が定着しています。
- 為替(ドル円)との相乗効果:日本国内の円建て金価格は「国際金価格(ドル)× 為替(ドル円)」で決定されます。ドル高・円安傾向が続く場面では、国際価格以上のレバレッジ効果が円建て価格に働きます。
- 鉱山株特有の「ボラティリティ」:住友金属鉱山(5713)などの個別鉱山株は、金現物そのものよりも業績レバレッジがかかるため株価の値動きが非常に激しくなります。安定性を重視する場合はETF、ボラティリティと配当・業績成長を狙う場合は鉱山・リサイクル株という使い分けが定石です。
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