従来のシリコン型太陽電池とは異なり、「薄い・軽い・曲げられる・印刷で作れる」という特徴を持つため、ビルの壁面、耐荷重の低い工場の屋根、電気自動車(EV)のルーフなど、これまで設置できなかったあらゆる場所に導入できる次世代のクリーンエネルギー本命技術です。
日本が強みを持つ材料技術が多く、国策(GX:グリーントランスフォーメーション)としての支援も手厚いため、株式市場でも中長期のテーマ株として非常に強い関心を集めています。サプライチェーンの役割ごとに注目銘柄を整理しました。
1. フィルム型太陽電池の「製造・製品化」をリードする主役株
実際に製品を量産化し、市場へ供給していくトップランナー企業です。
- 積水化学工業(4204)
- 本命中の本命。 独自の封止・成形技術を強みに、屋外で10年相当の耐久性を持つフィルム型ペロブスカイト太陽電池で日本をリードしています。大型の生産ライン新設を進めており、実用化・量産化のスケジュールが最も具体化している企業の一つです。
- パナソニック ホールディングス(6752)
- 建物の窓ガラスと一体化した「発電するガラス(ガラス型ペロブスカイト太陽電池)」の開発に強みを持っています。都市型のビル壁面や住宅向けなど、建築一体型(BIPV)の市場で大きなシェアを狙えるポジションにいます。
- リコー(7752)
- 複合機の製造で培った「有機感光体材料」や「インクジェット印刷技術」を応用し、微弱な室内光でも高い発電効率を発揮する固体型染料感光太陽電池(これも広義のOPVの一種)などを開発。オフィス内のIoTデバイス用電源として実用化を進めています。
- カネカ(4118)
- 得意のポリイミドフィルムを基板に用いて、世界最薄水準かつ高効率なフィルム型太陽電池の開発に成功しています。
2. 主原料・キーマテリアルを握る「素材・化学」
次世代太陽電池(特にペロブスカイト型)の主原料である「ヨウ素」や、発電効率を高めるための「周辺素材」を供給する化学セクターです。ここはすでに利益が出ている企業が多く、業績へのインパクトが早く表れやすいのが特徴です。
- 伊勢化学工業(4107) / K&Oエナジーグループ(1663)
- ヨウ素の世界的メガプレーヤー。 ペロブスカイト太陽電池の結晶を構成する主原料はヨウ素です。日本(特に千葉県)は世界第2位のヨウ素産出力を誇り、その国内トップシェアを握る伊勢化学などは、次世代太陽電池の市場拡大がそのままダイレクトに強力な追い風となる構造を持っています。
- 日産化学(4021)
- 太陽電池の内部でプラスの電荷だけを通す「正孔輸送材料」などの高機能コーティング材料を開発しています。発電効率や耐久性を引き上げるための不可欠な部材として、素材面からの黒子役として注目されています。
- 富士フイルムホールディングス(4901)
- 子会社の富士フイルム和光純薬が、研究開発・製造に欠かせない高品質な試薬や有機エレクトロニクス材料(ビルディングブロック)を広く供給しており、開発インフラの土台を支えています。
3. 周辺部材・耐久性向上(フィルム技術)
OPVやペロブスカイトの最大の弱点は「水分や酸素に弱く劣化しやすい」点です。これを克服するための高機能フィルムを持つ企業も外せません。
- MORESCO(5018)
- 有機薄膜太陽電池向けに、水分や酸素の侵入を徹底的に防ぐ「極薄の封止材(接着剤)」などを手がけており、セクター隠れた実力派としてマークされています。
- コニカミノルタ(4902)
- 長年培ったフィルム技術を活かし、太陽電池の耐用年数を大幅に伸ばすための「超高バリア性保護膜(ガスバリアフィルム)」の展開を進めています。
ヘビーアセット(重資産)としての市場の捉え方
これら次世代太陽電池ビジネスは、ソフトウェアのような pure SaaS とは異なり、化学プラント、高精度なコーティング機械、そして高度な結晶制御・封止技術といった「フィジカルな強みと重設備」が参入障壁になります。
容易には真似できない有形資産と技術の蓄積(HALOの思想)がある企業ほど、実用化フェーズに入った際の主導権を握りやすくなります。まずは「量産化の投資を進める大手化学・電機(積水化学など)」と、世界的に代替が効かない「資源・素材(伊勢化学など)」の2軸でトレンドを追いかけるのが定石です。
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