TGV

TGV(Through Glass Via:ガラス貫通ビア)は、前述の「CoPoS」や「ガラスコア基板(GCS)」を実現する上で、最大の技術的ボトルネックであり、同時に最大の付加価値を生むコア技術です。

一言で言えば、「厚さ数百マイクロメートルのガラス板に、髪の毛の太さよりも遥かに細い、超微細な穴(直径数〜数十μm)を数百万〜数千万個も高速・精密に開け、そこに銅などを詰めて上下の電気配線を通す技術」を指します。

シリコンを用いるTSV(Through Silicon Via)に比べ、ガラスは「硬くて脆い」「熱で割れやすい」という性質があるため、いかに割らずに、高速で、垂直な美しい穴を開けるかが勝負となります。

以下に、TGVの製造プロセスと、その市場で覇権を争う日本の主要関連銘柄を深掘りします。

TGVの主な製造プロセス

TGVの形成は、主に以下のステップで行われます。各工程に特化した強力なアセットを持つ企業が存在します。

  1. レーザー変質(改質): レーザーでガラスの「穴を開けたい部分」の結晶構造だけを狙い撃ちして変化させる。
  2. エッチング(穿孔): 薬液(フッ酸など)に浸すと、レーザーで変質した部分だけが超高速で溶け、一瞬で無数の綺麗な「貫通穴」が完成する。
  3. メタライズ(導電化): 穴の内壁に薄い金属膜を張り、銅をめっきで隙間なく充填して電気の通り道を作る。

TGV・ガラス基板加工の主要関連銘柄

1. レーザー加工・穿孔技術(最重要)

TGVの成否は「最初のレーザー改質をいかに速く、正確に行うか」にかかっています。

  • ディスコ【6146】 半導体の「切る・削る・磨く」の絶対王者。ガラス基板のハンドリングや、レーザーを用いたガラスへの超微細加工技術の開発を猛烈に推進しています。TGV形成後のウエハー/パネルの薄化・ダイシング工程でも同社の装置は不可欠です。
  • レーザーテック【6920】 TGVで開けた穴の深さ、直径、内部の欠陥(クラック)を高速かつ非破壊で検査するシステムにおいて、同社の光学技術・検査アセットが期待されています。
  • ミツトヨ(非上場)/ メカトロ関連企業 ガラス基板上の微細な位置決め(アライメント)や超精密測定技術を持つ企業も、TGVの歩留まり(良品率)改善に深く関与しています。

2. エッチング・ウェット処理装置

レーザー照射後のガラスを薬液で溶かして穴を貫通させる、または表面を平滑化するプロセスです。

  • 芝浦メカトロニクス【6590】 前述の通り、FPD(液晶・有機EL)用の大型ガラスパネル向け「ウェットエッチング・洗浄装置」で世界トップクラスの実績を持ちます。この「ガラスを均一に薬液処理するアセット」を半導体TGV工程へ水平展開しており、非常に有利なポジションにいます。
  • SCREENホールディングス【7735】 半導体洗浄装置の世界シェアトップ。ウエハーレベルだけでなく、パネルレベルでの均一な薬液処理・洗浄技術において、TGV前後の重要工程を担います。

3. メタライズ・めっき(導電化工程)

開けた穴に銅を高密度に詰め込む技術(ビアフィリング)です。ガラスはシリコンと違って金属が密着しにくいため、特殊なめっき技術が必要になります。

  • 上村工業【4966】 / メック【4971】 高機能パッケージ基板向けの「めっき化学薬品」や「密着性向上(粗化)薬品」の世界的スペシャリスト。ガラスと銅という相性の悪い素材を分子レベルで強固に密着させる特殊な薬液アセットは、TGVの実用化において極めて高い障壁(参入障壁)となっています。
  • TOWA【6315】 半導体モールディング(樹脂封止)装置の圧倒的大手。TGVを形成したガラス基板上にチップを実装した後、それらをダメージなく樹脂で固める技術で、次世代パッケージの最終工程を支えます。

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