ABF基板

半導体パッケージの分野で、AI半導体や高性能CPU/GPUの製造に絶対欠かせない超重要素材が「ABF(味の素ビルドアップフィルム)」です。このフィルムを使った半導体パッケージ基板のことを一般に「ABF基板(またはABF載板)」と呼びます。

今回は、このABF基板がなぜそれほど重要なのか、そして市場を独占・リードしている主要な関連銘柄を日本株・台湾株を交えて解説します。

ABF基板とは?(なぜAI時代に爆発的に売れているのか)

通常、ナノメートル単位で製造される微細な半導体チップ(CPUやGPU)は、そのままではミリメートル単位の電子回路基板(マザーボード)に直接繋ぐことができません。その「橋渡し」をする役割を担うのがABF基板です。

  • 独占材料: 調味料で有名な味之素(味の素グループ)が、アミノ酸の精製技術から応用して開発した熱固性エポキシ樹脂薄膜です。全世界の高性能CPU/GPU向けパッケージ基板の絶縁材として、ほぼ100%の市場シェアを誇ります。
  • 特徴: 極めて平坦で、レーザーで超微細な穴(ビア)を開けやすく、熱による膨張や歪みが少ないため、NVIDIAのH100やBlackwellといった「巨大かつ高発熱なAIチップ(Chiplet/先進パッケージング構造)」を支えるには、現状この材料以外に選択肢がありません。

ABF基板の主要関連銘柄

ABF基板のサプライチェーンは、「材料メーカー」と、それを使って基板(載板)へと加工する「基板製造メーカー(主に日本・台湾・韓国)」に分かれます。

1. 材料(フィルム)の絶対王者

  • 味の素 (東証プライム: 2802)
    • 役割: ABF(フィルム自体)の世界シェアほぼ100%を独占する元祖にして頂点。食品会社としてのイメージが強いですが、利益率の非常に高い半導体材料部門が同社の株価・業績の強力な牽引役(コアエンジン)となっています。

2. 世界最高峰の基板(サブストレート)加工メーカー

味の素から供給されたフィルムを何層も積み重ね(ビルドアップ)、超精密な回路を形成してパッケージ基板に仕上げる主要企業です。ここが実質的な「ABF三雄(台湾)」や「日本連合」として市場を寡占しています。

【日本企業】

  • イビデン (東証プライム: 4062)
    • 特徴: 高性能CPU/GPU向けABF基板の最高峰メーカー。IntelやNVIDIAなどのトップティア顧客と深く結びついており、AIサーバー向けの高層数・大型基板において圧倒的な技術優位性を持っています。
  • 新光電気工業 (東証プライム: 6967)
    • 特徴: 富士通系の半導体パッケージ大手(※政府系ファンドのJIC等による買収・非公開化の動きもありますが、技術力は世界屈指)。イビデンと並び、フリップチップ(FC-BGA)基板のグローバルリーダーです。

【台湾企業(世界シェア上位の『ABF三雄』)】

グローバルなAI半導体(TSMCのCoWoS受託など)のバリューチェーンを追う上で、以下の台湾3社は外せません。

  • 欣興電子(ユニマイクロン / 2303.TW)
    • 特徴: ABF基板の世界最大手。NVIDIA、AMD、Intelの主要サプライヤーであり、次世代AIサーバー向け基板の増産投資を最もアグレッシブに行っています。
  • 南亜電路板(ナンヤPCB / 8046.TW)
    • 特徴: 台湾プラスチック(台塑)グループ傘下。PC向けからサーバー・ネットワーク機器向けの高階(ハイエンド)ABF基板へのシフトを急ピッチで進めています。
  • 景碩科技(キンサス / 4938.TW)
    • 特徴: 主にスマホ向け(BT基板)からスタートし、現在はAI・HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)用のABF基板のシェアを急速に拡大している企業です

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