浮体式原発

浮体式原発(浮体原子力発電所)とは、水上や海中の船体・浮体に原子炉が搭載された発電所のことです。陸上設置型の原発とは異なり、海に浮かべて運用することを前提として設計されています。

特徴とメリット:

地震・津波に強い: 浮体であるため、地震や津波の影響を直接受けにくいとされています。特に、炉心が海水面より低い位置に設置される設計では、重力を利用して冷却水を供給できるため、全電源喪失時でも炉心冷却が容易になります。
立地選択の自由度が高い: 従来の原子力発電所は強固な地盤が必要など立地条件に制約がありましたが、浮体式原発は沖合に設置できるため、立地制約を解消し、より多くの地域で利用可能になります。
移設・メンテナンス・廃棄が容易: 必要に応じて移動が可能であり、メンテナンスや廃棄も比較的容易であるとされています。
遠隔地での利用: 従来の発電所が設置できないような遠隔地や電力インフラが未整備な地域でも電力供給が可能です。特に、燃料資源の輸送が難しい場所での利用に適しています。
住民避難の負担軽減: 陸地から離れた沖合に設置することで、事故時の住民避難計画が不要になったり、負担が大幅に軽減されたりする可能性があります。
品質向上と工期短縮: 小型炉が採用されることが多く、工場で浮遊構造物と原子力発電設備を一貫して製造できるため、工期の短縮と製品品質の向上が期待されます。
多目的利用: 発電だけでなく、脱塩化処理プラントに改造して淡水を供給することも可能です。
課題とデメリット:

コスト: 建設費だけでなく、人件費を含めた運用費や、日本で建設する際のコストの確認が必要です。
テロ対策・核物質防護: 海上であるためテロリズムに攻撃されにくい側面がある一方で、侵入を許した際の外部からの救援アクセスが難しい、船舶や炉心・燃料ごと国外に持ち出されるシナリオへの対策が必要などの課題があります。
耐震設計: 地震時に発生する海震を考慮した耐震設計が必要ですが、現地実測データが少ないため、設計の妥当性を示すのが難しい側面があります。
環境影響評価: 海中でのベント(蒸気放出)は知見が少なく、環境への影響評価が必要です。
保守・トラブル対応: 予備品の確保や輸送、トラブル発生時の対応について検討が必要であり、ドックへの輸送はコスト的に現実的ではない可能性もあります。
塩害対策: 海水に常にさらされる構造部や機器の設計、対策が必要です。
法整備と国際的合意: 核物質防護や核不拡散性に関して国際的な合意を得ること、国内での関連法規の整備が進められる必要があります。
世界の動向:

ロシア: 世界で初めて浮体式原子力発電所「アカデミック・ロモノソフ号」が2020年に商業運転を開始しました。これは、電気出力7万kWの軽水炉式小型炉を2基搭載したバージ型発電所で、燃料資源が乏しい極東地域などで活用されています [3.3]。さらに、北極圏向けにRITM-200小型炉を2基搭載した浮揚式原子力発電ユニット(NFPU)の建設も進められています。
中国: 南シナ海での軍事プレゼンス強化や、渤海油田などのエネルギー需要を満たす目的で、浮体式原子力発電所の開発・配備計画を進めています。
その他: 韓国、オランダなどでも浮体式原子力発電所の研究開発が進められています。
浮体式原発は、従来の原子力発電所の課題を解決する可能性を秘めた技術として注目されていますが、安全性、コスト、核物質防護、環境影響など、解決すべき多くの課題も存在します。地下300メートルのバンカーには、MOPでも破壊が難しく、核兵器が必要になる可能性も指摘されています。

■原発関連銘柄

春の嵐、相場はトランプハリケーンが吹き荒れ、
調整を終え、いよいよHOTサマー、2025年夏相場へ!
2025年度前半は、令和の米騒動で木徳神糧(2700)が大ヒット。
TOB狙いは NTTデータグループ(9613) 三菱食品(7451) が大当たり
会員専用のサイトで、グロース市場を中心に新興個別銘柄の値動き、
市況、株価に影響を与える個別材料・注目点・投資のヒント等を
タイムリーに情報提供。
相場の流れを掴み、
各種情報から投資先を選定していきたいという方におすすめです。
お申込みはこちらから