政府、国産AI計画案

日本政府は、国際的なAI競争力の強化と国内産業の活性化を目指し、「統合イノベーション戦略2025 AIパート(案)」などを通じて、国産AIの開発を強力に推進する計画です。この計画案は、日本のAI開発における課題である「計算資源」「データ」「人材」の3つの不足を克服することに焦点を当てています。

計画の主な柱

  1. 計算資源の確保と強化
    日本のAI開発力の弱点の一つは、高性能なGPU(グラフィックス処理ユニット)などの計算資源が不足していることです。政府は、この問題を解決するために以下の施策を進めています。

大規模計算基盤の整備: 産業技術総合研究所(AIST)のAI向け計算機「ABCI」を増強し、研究機関や企業に利用機会を提供。

助成制度の創設: 経済産業省は「Generative AI Accelerator Challenge(GENIAC)」プロジェクトを立ち上げ、国産AI基盤モデルの開発企業に対し、計算資源の利用料を補助しています。

  1. 大規模な日本語データセットの整備
    質の高い日本語データが少ないことも、国産AIの性能向上を妨げています。政府は、以下のような取り組みを通じて、AI学習用データの充実を図っています。

データ収集と提供: 情報通信研究機構(NICT)が中心となり、日本語に特化した大量かつ高品質な学習用言語データを整備・拡充し、開発者に提供する方針です。

官民連携: 公的機関や民間企業が持つ多様なデータをAI学習に活用できるよう、ルールの策定やデータ共有の促進を進めています。

  1. AI人材の育成と確保
    AIを開発・活用できる人材の不足も喫緊の課題です。

教育体制の改革: 小学校から大学、社会人に至るまで、AIやデータサイエンス教育を強化し、裾野を広げます。

専門家育成プログラム: 高度なAI専門家を育成するため、産学連携による研究開発や、海外のトップ機関との交流を支援します。

法整備と倫理的課題への対応 ⚖️
政府は、AI開発を推進する一方で、リスクにも対応しています。

「AI法」の制定: 2025年5月には、AIの開発・活用の促進と悪用リスクへの対処を定めた「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)」が成立しました。この法律は罰則ではなく、事業者の自主性を尊重する形で、イノベーションと安全性の両立を目指しています。

AI安全性研究所(AISI)の設立: 安全・安心なAIの実現に向け、政府と民間が連携してAIのリスクを評価し、ガイドラインを策定する専門機関を設立しました。

これらの計画を通じて、日本はAI分野における国際競争力を高め、「AIフレンドリーな国」として、世界のAI開発を牽引することを目指しています。

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