砕氷船

砕氷船(さいひょうせん、icebreaker)は、その名の通り、水面に張った氷を砕きながら航行するために特別に設計・建造された船舶です。北極海や南極海、凍結する河川など、氷に覆われた水域での航行を可能にし、物資輸送、観測、探査、救助、観光など、多岐にわたる目的で利用されます。

砕氷船の仕組みと特徴
砕氷船は、一般的な船とは異なる以下のような特徴と仕組みを持っています。

強固な船体構造:
特に船首部分を中心に、鋼鉄製の厚い船殻で強化されています。これは、氷との衝突や氷の圧力に耐えるためです。
船体側面も強化されており、氷に挟まれて圧壊するのを防ぎます。
特殊な船型(船首形状):

船首は、氷に乗り上げて船体の重みで氷を砕くために、通常、傾斜した独特の形状をしています。
砕かれた氷は船底に沿ってさらに下方に沈み、船の側面へと流れるように設計されています。
砕氷方法:

連続砕氷: 比較的薄い氷であれば、船が止まることなく連続的に前進しながら氷を砕いて進みます。
チャージング砕氷(ラミング砕氷): 厚い氷や硬い氷の場合に用いられる方法です。船を一旦後退させ、勢いをつけて氷に突進し、船の重みと加速スピードで氷に乗り上げて砕きます。これを繰り返し行うことで、少しずつ前進していきます。南極観測船「しらせ」もこの方法を使います。

強力な推進機関:
分厚い氷を砕き、船体を前進させるためには、非常に強力なエンジンとプロペラが必要です。
複数のプロペラを備え、推進力を確保し、操舵性を高めることもあります。ロシアの原子力砕氷船などでは、原子力を動力源とするものもあります。
ヒーリング装置・トリミング装置:

船体を左右に傾けたり、前後を調整したりする装置です。これは、船体が氷に挟まれた際に、船を揺らして氷との摩擦を減らし、脱出を助けるために使用されます。燃料タンク間の液体の移動などを利用することが多いです。
排氷促進船型:

砕かれた氷片が船底に沿って船の外側にスムーズに排出されやすく、プロペラや船体との干渉を小さくする船型が開発されています。

船首散水装置:
船底から汲み上げた海水を船首部に配置されたノズルから海氷上の積雪に放出し、積雪を湿潤化させることで、船体表面との摩擦を低減させる技術です。
砕氷船の用途
南極・北極観測: 南極観測船「しらせ」のように、極地での科学観測、物資輸送、隊員の輸送に不可欠です。
航路啓開: 凍結する海域や河川で、後続の商船やタンカーのために航路を切り開きます。特にロシアの北極海航路(Northern Sea Route)では、商業航路として原子力砕氷船が活躍しています。
資源輸送: 資源開発が活発な北極圏において、液化天然ガス(LNG)などを輸送するタンカーの中には、砕氷能力を持つ「砕氷LNGタンカー」も建造されています。
観光: 北海道の網走などで運航されている流氷観光船「おーろら」や「ガリンコ号」のように、観光客に流氷体験を提供するために砕氷能力を持つ船もあります。
救難・警備: 海上保安庁の巡視船の中には、砕氷能力を持つものが存在し、流氷海域での警備や救難活動に従事します。

日本の砕氷船
日本は南極観測事業の歴史とともに砕氷船を保有してきました。

「宗谷」: 日本初の南極観測船(初代)。当初は耐氷型貨物船として建造され、太平洋戦争を経験後、引揚船、灯台補給船を経て、南極観測船に転用されました。現在は東京の「船の科学館」で保存展示されています。
「ふじ」: 日本で初めて本格的な極地用砕氷艦として建造された南極観測船(二代目)。現在は名古屋港ガーデンふ頭で公開されています。
「しらせ」(初代): 「ふじ」の後を継ぎ、長らく南極観測を支えた砕氷船。現在は千葉県船橋市で「SHIRASE5002」として一般公開されています。
「しらせ」(現行): 現在の南極観測船(三代目)。2009年に竣工し、海上自衛隊が運用しています。より強力な砕氷能力と観測能力を持っています。ジャパンマリンユナイテッドが建造を担当しました。
「みらいⅡ」(建造中): 海洋研究開発機構(JAMSTEC)が建造を進める日本初の「北極域研究船」です。砕氷能力を備え、北極圏の環境変動研究に貢献することが期待されています。2026年竣工予定。
巡視船「そうや」など: 海上保安庁の巡視船の中にも砕氷能力を持つ船があります。

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