日米共同ファクトシートの概要

日米両政府がトランプ大統領の訪日に際して発表した、日米間の企業が関心を寄せている大規模な投資・協力プロジェクトに関する共同ファクトシートの概要です。

このファクトシートは、主にエネルギー、AI(人工知能)関連インフラ、重要鉱物の3つの主要分野における、具体的な企業名と事業規模(【】内の総額)を列挙しています。

日米間の投資に関する共同ファクトシート 要約
日米両政府は、日米両国の企業が関心を持つ以下の4分野における大規模なプロジェクト組成を歓迎しました。

  1. エネルギー分野
    原子力発電(SMR・AP1000)の建設:

米国のWestinghouse、GEベルノバ日立などが中心となり、三菱重工業、東芝、IHIなどの日本企業の関与を検討。(それぞれ【最大1000億ドル】規模)

大規模電力インフラ:

ベクテル、キーウィット、GEベルノバなどが発電所、変電所、送電システムなどの大規模インフラを担い、日本企業も関与を検討。(それぞれ【最大250億ドル】規模など)

ソフトバンクグループは、大規模電力インフラ構築の設計・運用・メンテナンスを計画。(【最大250億ドル】)

キャリア(冷却装置)【最大200億ドル】やキンダー・モーガン(天然ガス送電)【最大70億ドル】なども関与。

  1. AI向け電源開発
    ニュースケール/ENTRA1 エナジーが、AIインフラを支える電源開発(ガス火力、原子力)を検討。
  2. AIインフラの強化(日本企業が主に関与)
    電力機器・システム:

三菱電機(発電システム、UPS、チラーなど)【最大300億ドル】、東芝(変圧器など)、日立製作所(送電設備、変電設備)がデータセンター向け電力インフラの供給とサプライチェーン強化を目指す。

先端部品・ケーブル:

村田製作所(MLCC、ESS向けバッテリーモジュールなど)【最大150億ドル】、パナソニック(ESS、電子部品など)【最大150億ドル】、TDK(先端電子部品、パワーモジュール)、フジクラ(光ファイバーケーブル)が供給とサプライチェーン強化を目指す。

  1. 重要鉱物等
    ファルコン・カッパー(銅製錬・精錬)【20億ドル】、ミトラケム(リチウム鉄リン酸塩生産)【3.5億ドル】、カーボン・ホールディングス(アンモニア・尿素肥料)【最大30億ドル】などが、米国での重要物資生産施設を計画し、日本のサプライヤー・オフテイカーの関与を検討。

その他、マックスエナジー(原油タンカー航路改善)【6億ドル】や、エレメントシックス(ダイヤモンド砥粒製造)【5億ドル】のプロジェクトも記載。

結論として、このファクトシートは、日米の企業がクリーンエネルギー、次世代技術(AI)、経済安全保障に不可欠なサプライチェーン強靭化へ、数千億ドル規模の巨額投資を通じて連携を深める意向を示しています。

前述の日米首脳会談の共同ファクトシートに記載された主な日本企業について、証券コードを付与してまとめました。(注記のない企業は、外国企業や非上場企業、プロジェクト名などです。)

企業名 証券コード 関連分野 投資・協力の主な内容
三菱重工業 7011 エネルギー(原子力) WestinghouseのAP1000/SMR建設への関与を検討。
東芝 6502(※) AIインフラの強化 電力モジュール、データセンター用変圧器、変電設備機器の供給。

IHI 7013 エネルギー(原子力) WestinghouseのAP1000/SMR建設への関与を検討。
ソフトバンクグループ 9984 エネルギー 大規模電力インフラ構築のための設計・開発、運用、メンテナンス。

日立製作所 6501 AIインフラの強化 HVDC送電設備、データセンター向け電力インフラの供給。
三菱電機 6503 AIインフラの強化 データセンター向け発電システム、機器(UPS、チラー等)の供給。【最大300億ドル】

フジクラ 5803 AIインフラの強化 光ファイバーケーブルの供給。
TDK 6762 AIインフラの強化 AIインフラに不可欠な先端電子部品、パワーモジュールの供給。
村田製作所 6981 AIインフラの強化 MLCC、ESS向けバッテリーモジュールなど先進電子部品の供給。【最大150億ドル】

パナソニック 6752 AIインフラの強化 エネルギー貯蔵システム(ESS)、その他電子機器・電子部品の供給。【最大150億ドル】

【東芝(6502)について】 東芝(6502)は、2023年12月20日をもって上場廃止となっており、現在は非上場企業です。この記事は上場時のコードを使用しています。

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