宗教法人への課税

「宗教法人への課税」は、公平性の観点からしばしば議論になるデリケートかつ複雑なテーマです。

結論から言うと、「宗教法人は全く税金を払っていない」というのは誤解です。実際には「宗教活動」と「収益事業(ビジネス)」で扱いが厳格に分かれています。

現在の仕組みと、なぜ議論が絶えないのかを整理して解説します。


1. 「課税されるもの」と「されないもの」

宗教法人の収入は、その性質によって2つの箱に分けられます。

【非課税】宗教活動の収入

お布施、初穂料、戒名料、お賽銭、祈祷料、寄付金など。

  • 理由: これらはサービスへの「対価(料金)」ではなく、信仰に基づく「喜捨(献金)」とみなされるためです。
  • 固定資産税: 礼拝に使われる本堂や境内地などは非課税です。

【課税】収益事業(ビジネス)の収入

駐車場経営、不動産賃貸、物品販売(お守り・お札の常識的な範囲を超えるもの)、宿坊の経営、幼稚園の運営など。

  • ルール: 法律で定められた「34の業種」に該当する事業は、一般企業と同じように法人税がかかります。
  • 軽減税率: ただし、一般企業(約23%)よりも低い**15〜19%**の軽減税率が適用される優遇措置があります。

2. なぜ「全額課税すべき」という議論があるのか?

「宗教法人からももっと税金を取るべきだ」という主張の背景には、主に以下の理由があります。

  • 不公平感: 一般企業が厳しい競争の中で納税している一方、宗教法人は多額の献金に税金がかからず、内部留保(貯金)を蓄えやすい構造にあることへの批判です。
  • 「隠れビジネス」の懸念: 実際にはビジネスに近い活動をしているのに「宗教活動」の名目で非課税にしているのではないか、という不透明さへの不満です。
  • 財源確保: 2026年現在の政治ニュースでも、消費税減税や社会保障の財源として、宗教法人の莫大な資産や収入への課税案が議論に上ることがあります。

3. 課税に慎重な意見(反対意見)

一方で、一律の課税には以下のような大きな壁があります。

  • 信教の自由への干渉: 国家が宗教団体の財務に深く介入することは、憲法が定める「政教分離」や「信教の自由」を脅かす恐れがあるという指摘です。
  • 伝統文化の崩壊: 多くの地方の寺社は、実は経営が非常に苦しいのが実態です。一律に課税すると、地域の文化財やコミュニティの維持ができなくなる恐れがあります。
  • 実務的な困難: 「どこまでがお布施で、どこからが対価か」という線引きを税務署が判断するのは、極めて困難です。

まとめ

現在の日本の制度は、「宗教としての本分(祈りや布教)には課税しないが、ビジネスには課税する。ただし、社会貢献性を鑑みて少し負けてあげる」という絶妙なバランスの上に成り立っています。

しかし、近年では一部の教団を巡る社会問題や、国の財政難を背景に、「聖域」とされてきたこの税制にメスを入れるべきだという声がかつてないほど強まっています。

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