制御性T細胞(せいぎょせいTさいぼう、TregまたはTreg細胞)は、免疫システムの過剰な応答を抑える役割を持つリンパ球の一種です。免疫の「ブレーキ役」として機能し、自己免疫疾患やアレルギー反応の予防、移植後の拒絶反応の抑制などに深く関わっています。
制御性T細胞の主な役割と特徴
1. 免疫応答の抑制(ブレーキ役)
Treg細胞の最も重要な役割は、他の免疫細胞(ヘルパーT細胞やキラーT細胞など)の活動を抑制し、免疫システムが暴走するのを防ぐことです。これにより、以下のような病態を防いでいます。
- 自己免疫疾患の予防: 自分の体を異物と誤認して攻撃する自己免疫疾患(関節リウマチやI型糖尿病など)が起こるのを防ぎます。
- アレルギー反応の抑制: アレルギーの原因となる過剰な免疫反応を鎮めます。
2. 特徴的なマーカー(目印)
Treg細胞の多くは、以下のタンパク質を目印として持っています。
- CD4: ヘルパーT細胞と同じくCD4というタンパク質を持っています。
- CD25: IL-2というサイトカインの受容体であるCD25を強く発現しています。
- FOXP3: Treg細胞の機能と分化に必須の転写因子です。FOXP3はTreg細胞の「司令塔」とも呼ばれ、Treg細胞を同定する最も重要なマーカーとされています。
3. がんにおける二面性
Treg細胞は免疫を抑制するため、がん治療においては二面性を持つことが問題視されています。
- がんの進行を助長: がん細胞はTreg細胞を呼び寄せ、活性化させることで、がんを攻撃しようとする他のT細胞の働きを抑え込み、免疫から逃れることを助けます。
- がん免疫療法の課題: このため、Treg細胞の働きを弱めることが、より効果的ながん免疫療法の開発につながると考えられています。
医療への応用
その強力な免疫抑制能力から、Treg細胞は現在、様々な疾患の治療法として注目され研究が進められています。
- 再生医療・移植医療: 臓器移植後にTreg細胞を患者に投与することで、拒絶反応を抑える試みが進んでいます。
- 自己免疫疾患: 患者自身のTreg細胞を体外で増やし、体内に戻す(輸注する)ことで、過剰な自己免疫反応を鎮める治療法の開発が進められています。
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