日本の会計基準において、債券(有価証券)の減損処理(評価換え)が不要、あるいは回避できるケースについて。
投資家や経営者にとって、含み損を抱えた債券を「損失」として計上しなくて済むかどうかは、財務諸表の見た目に直結する極めて重要なポイントです。
結論から言うと、ポイントは**「保有目的」と「価格下落の理由」**の2点に集約されます。
1. 減損処理が不要な主なケース
① 満期保有目的の債券である場合
もっとも一般的なケースです。償還日まで持ち続ける意図と能力がある債券は、時価が下がっても減損処理を行う必要はありません。
- 理由: 時価が変動しても、満期まで持てば額面金額が戻ってくるため、一時的な時価の下落は「損」として確定していないとみなされます。
- 会計処理: 時価ではなく「償却原価法」で評価します。
② 時価の下落が「著しい」とは言えない場合
「その他有価証券」として分類している場合でも、下落幅が小さければ減損は不要です。
- 一般的に、時価が取得原価より30%以上下落していなければ、直ちに減損が必要になることは稀です(50%以上の下落は原則減損)。
③ 回復の可能性があると判断される場合
下落率が30%〜50%程度であっても、合理的な根拠(格付けの動向や企業の財務状況など)に基づき、**「時価が取得原価付近まで回復する見込みがある」**と証明できる場合は、減損を免れることができます。
2. 債券特有の「減損不要」の判断基準
株式と決定的に違うのは、債券には**「元本償還」と「利息」**がある点です。以下の図のように、価値の下落が「金利変動」によるものか「信用不安」によるものかで扱いが変わります。
金利上昇による下落(減損不要なことが多い)
市場金利が上がると債券価格は下がります。しかし、これは発行体の支払い能力が落ちたわけではありません。
- 満期まで持てば元本は返ってくるため、「支払不能(デフォルト)」の恐れがない限り、金利変動による下落で減損を強制されることはほぼありません。
信用格付けの維持
発行体の財務状況が悪化していない(例:格付けが投資適格を維持している)のであれば、市場価格が一時的に低迷していても「一時的な下落」として処理できます。
3. 注意が必要なケース(減損を避通れない時)
以下のような状況では、強制的に減損処理(評価損の計上)が必要になります。
- 信用リスクの顕在化: 発行体が倒産しそう、あるいは債務不履行(デフォルト)を起こした場合。
- 保有目的の変更: 「満期まで持つ」と言っていたのに、資金繰りのために売却せざるを得なくなった場合。
- 著しい下落かつ回復不能: 時価が50%以上下落し、かつ回復する証拠が示せない場合。
まとめ
債券の減損を避けるための大原則は、**「満期保有目的として分類し、発行体の信用力を監視し続けること」**です。金利の影響で価格が下がっているだけであれば、基本的には帳簿上の評価損を計上せずに済みます。
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