東京証券取引所のグロース市場では、上場維持基準の見直しが進められています。これは、市場の活性化と新陳代謝を促し、企業に持続的な成長を求めることが主な目的です。
主な見直し内容
見直しの中心となっているのは、特に以下の点です。
- 時価総額の基準強化
最も大きな変更点は、上場から一定期間が経過した企業に対する時価総額の基準が厳格化されることです。
現行基準: 上場後10年経過した時点で時価総額40億円未満の場合に上場廃止となります。
見直し後の案: 上場から5年後に時価総額100億円以上の基準が適用されます。
この基準に満たない企業には、原則として1年間の改善期間が設けられます。
改善期間内に基準を満たさない場合、監理・整理銘柄の指定を経て上場廃止となります。
ただし、基準達成に向けた計画を開示し、その計画期間中は例外的に上場を維持できる猶予期間が設けられます(計画期間の長さには制限を設けないものの、長期の計画は投資家からの支持を得にくいとしています)。
この新しい基準の適用は、2030年3月末から開始される予定です。
- スタンダード市場への変更基準の見直し
グロース市場からスタンダード市場へ移行する際の基準も一部見直されます。
変更点: これまでスタンダード市場への変更には「最近1年間の利益額が1億円以上」という形式要件がありましたが、企業が成長投資を抑制して利益を無理に捻出することを避けるため、この利益額の形式要件は適用しない方向で検討されています。
見直しの背景と狙い
この見直しは、東証が掲げる「持続的な企業価値向上」や「資本効率の改善」といった市場改革の一環です。
新陳代謝の促進: 成長期待の低い企業を厳しくすることで、市場全体の新陳代謝を促し、投資家の資金をより成長性の高い企業に集中させたい狙いがあります。
「高い成長可能性」の実現: グロース市場のコンセプトである「高い成長可能性」を、上場後も実際に企業価値の向上という形で実現するよう企業にプレッシャーをかけています。
この見直しは、上場を目指す企業や、既にグロース市場に上場している企業に対し、これまで以上に企業価値の向上と成長戦略の実行を強く求めるメッセージとなっています。
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